建造物装飾における「金具」とは、装飾品及び、補強材を指します。
金具は、それぞれの使用箇所や形状・機能によって大きく3つに分類されます。建物の構造を補強するのに必要な釘・鎹(かすがい)・丁番などの建築金物、部材を保護するための根巻や垂木・破風先を覆う包金物、そして実用的な機能に応じた襖引手などがあります。これらがより造形的になり装飾性をおびたものを総じて錺金具(かざりかなぐ)といいます。安土桃山時代には、書院造りの完成とともに、装飾品として違棚や長押の釘隠、格天井などに意匠性の高い錺金具が用いられました。また、山鉾(やまぼこ)などに見られるような祭具の装飾品としてもより煌びやかなものへと発展しました。
金具は、使用場所や目的に応じて、金・銀・銅・亜鉛・錫(すず)・鉄などの素材を使い分け、鍛金(たんきん・叩き出す)、鋳金(ちゅうきん・溶かして型に流す)、彫金などの技法により形状を整えます。仕上げには、鍍金(ときん・メッキ)、色付け(薬品等で煮る)、漆焼き付け、箔押し、くすべ等の表装を施します。これらの工程を経て、繊細で光沢のある表現が生まれます。