令和1年度、一般社団法人 社寺建造物美術保存技術協会では以下のような活動を行いました。
【国庫補助事業】
1.伝承者の育成
1.新規採用者のための文化財修理研修会
◇研修人員 20名 (対象:新入社員~就業3年目程度)
◇研修期間 令和元年8月5日、6日
◇研修内容 講義
新規採用者等に対して文化財修理現場で従事する技術者として欠かせない基礎知識を学ぶ研修を 行う。今年度は(公財)文化財建造物保存技術協会 賀古唯義先生と、(財)中小建設業特別教育協 会 伊達 章先生らを講師にお迎えし、2日間で「文化財修理の計画・調査と施工、竣工後の活用方 法までの文化財修理一連の進められ方」、また「雇い入れ時の安全衛生教育」を研修した。
2.中・上級技術者研修会
◇研修人員 12名 (対象:10年以上の実務経験者)
◇研修期間 令和2年2月13日、14日
◇研修内容
文化財建造物装飾分野の研鑽を深め、後継者へ知識・経験を継承していくにあたり、技術者が直面してきた課題や取り組みを共有し、検討して今後の修理に活かす。今年度研修は歓喜院聖天堂(埼玉県妻沼市)の保存修理工事をとりあげ、当時の修理計画の進行、修理方針の策定を振り返るほか、施工当時の材料を用いた実技演習を行った。また、修理当時の課題や成功事例の共有を交えつつ、より効果的な修理方法を模索する意見交換がなされた。
2.技術・技能の錬磨
1.固有技術向上研修会
◇研修人員 18名 (対象:初級技術者
◇研修期間 令和元年8月~令和2年3月
◇研修内容
初級技術者を対象に、各部門の基本工程の習得と基礎技術向上をめざす。本研修では、昨年度から車折神社(京都市右京区)の芸能神社本殿にて実技研修を進めている。
今年度は、漆、彩色、単色塗、錺金具の各部門で調査や塗装、補修、鋳造の実技研修を実施した
3. 記録の作成及び刊行
・研修報告書と会報「すいかずら第29号」の刊行、ホームページの更新などを進めた。
【活動事業】
文化庁選定保存技術公開事業
日本の技体験フェアふれてみよう! 文化財を守り続けてきた匠の技
「日本の技体験フェア」は、国内の選定保存技術団体が一堂に会し、展示や実演、体験コーナーを通じてそれぞれの技術や活動を一般の方に知っていただくイベントである。
当協会は、建造物修理保存技術を有する他の3団体と合同で「壁掛け製作体験ラリー」を実施した。 未就学児から大人まで、幅広い世代に伝統技術を端的に体感できるようマスキングテープを用いた繧繝彩色に挑戦していただいた。