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令和5年度事業活動

令和5年度、一般社団法人 社寺建造物美術保存技術協会では以下のような活動を行いました。

 

 

【国庫補助事業】

1.伝承者の養成

新規採用者のための文化財修理研修会

◇研修人員 19名 (対象:新入社員~就業3年目程度)【外部保存団体参加者 0名】
◇研修期間 令和5年7月10日~11日(2日間)
◇研修内容 講 義

本研修会では、新規採用者等に対して文化財修理現場で従事する技術者として欠かせない基礎知識を学ぶ研修を行った。
一日目は、(公財)文化財建造物保存技術協会 の増渕靖裕氏(群馬県 榛名神社設計監理担当)を講師にお迎えし、文化財保存修理の概要から活用までを、文化財建造物の体系や保存修理工事の流れを押さえながら実例を交えて解説いただいた。また、歴史的建造物のもつ特徴や、それらに対して技能者が施工時に考えるべき点についても丁寧にお話しいただいた。二日目は、労働災害を起こさず心身共に健康で安全に業務にあたるための知識や法令を(一財)中小建設業特別教育協会 友永義久氏の解説のもと学習した。今回は搔き落とし作業等の粉じん作業と非常に関連深い「じん肺」の健康被害やリスクについて取り上げていただき、研修生の真剣に学習する様子が見られた。

 

 

2.技術・技能の練磨

固有技術向上研修会

「漆」「彩色」「剥落止め」「単色塗」「錺・金具」各専門分野の技術研修会の実施
◇研修人員 67名 (対象:初級技能者,中級技能者)
【漆部門24名,彩色部門22名,剥落止め部門7名,単色塗部門5名,錺・金具部門9名】
◇研修期間 令和5年9月~令和5年12月
◇研修内容 実 技 (一部座学も含む)

令和5年度は「認定制度」の枠組みのもと漆、彩色、剥落止め、単色塗、錺・金具部門の5部門において研修が実現した。昨年に引き続き、漆、彩色部門の初級技能者研修では(公財)日光社寺文化財保存会に技術講師として参与いただいた他、他部門や中級技能者の研修においても各方面(文化庁・研究機関・教育機関・民間企業等)の専門家の皆様にお力添えいただいた。尚、5年目・10年目の研修に該当する準会員についてはそれぞれ「中級技能者」「准上級技能者」への昇級審査及び認定を行った。その結果今年度は計17名の「中級技能者」と、計10名の「准上級技能者」が新たに認定されている。
今年度は中級技能者に向けて漆、彩色、剥落止めの3部門において研修実施が叶い、令和3年度より開始した新しい体制の基盤づくりが着々と進む一方で、実施結果よりカリキュラム内容との調整や会員の登録形態について等の新たな課題も見えた年度となった。

 

 

 

3. 記録の作成及び刊行

研修報告書と会報「すいかずら第33号」の刊行、ホームページの更新などを進めた。

 

【その他の事業】

1.「文化庁移転記念 日本の技フェア」への参加

◇開催期間 令和5年11月18日(土)~19日(日)(2日間)
◇開催場所 京都市勧業館 みやこめっせ 第三展示場(京都府)
◇来場者数 2,570人(2日間合計)

文化庁京都移転の記念として、今年度は京都にて「文化庁移転記念 日本の技フェア」が開催された。正会員21社中10社が京都府に拠点を置いている社美協では今回5社に協力いただき、体験活動では彩色技法のひとつである「繧繝(グラデーション)彩色」を実施し、実演では錺金具の製作及び硫化仕上げ、ヘラ掛けを行った。またステージ企画として「技能者たちへの公開インタビュー」が行われ、社美協からは准上級技能者の女性1名が登壇し、他の選定保存団体からの登壇者と一緒にインタビュアーからの質問に応えた。昨年よりも協力人数が大幅に増加したおかげで、来場者の皆さんにとって、日頃現場で活躍する職人と直接会話できる機会が増え量も質も共に充実した展示内容となった。