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平成26年度研修事業

令和4年度、一般社団法人 社寺建造物美術保存技術協会では以下のような活動を行いました。

 

 

【国庫補助事業】

1.伝承者の養成

新規採用者のための文化財修理研修会

◇研修人員 12名 (対象:新入社員~就業3年目程度)【外部保存団体参加者 0名】
◇研修期間 令和4年8月29日~30日(2日間)
◇研修内容 講 義 

本研修会では、新規採用者等に対して文化財修理現場で従事する技術者として欠かせない基礎知識を学ぶ研修を行った。一日目は、(公財)文化財建造物保存技術協会の増渕靖裕先生を講師にお迎えし、文化財保存修理の概要と活用までを実例を交えて解説いただいた。二日目は(一財)中小建設業特別教育協会の友永義久先生のもと、労働災害を起こさず心身共に健康で安全に業務にあたるための知識や法令をビデオ教材やグループワークを通して学習した。

 

 

2.技術・技能の練磨

固有技術向上研修会

「漆」「彩色(剥落止め・単色塗)」各専門分野の技術研修会の実施
◇研修人員 38名 (対象:初級技能者)
【漆部門14名,彩色部門20名,剥落止め部門2名,単色塗部門2名】
◇研修期間 令和4年9月~令和4年10月
◇研修内容 実 技

昨年度より新たなスタートを切っている研修制度だが、令和4年度は初級技術者を対象に、各部門の基礎技術とその知識の習得を目的とした研修を行った。

漆部門の研修では、(公財)日光社寺文化財保存会の佐藤則武先生を講師にお迎えし、道具の調整と扱い方、工程に合わせた漆の調合等、基本的な漆の塗装工程の確認を9日間の日程で進めた。漆部門の各研修生の技術の習得状況は「技能習熟度チェックシート」を用いて講師による評価を行った。また、研修初日には文化庁 文化資源活用課 修理指導部門 文化財調査官の結城啓司氏に研修会場までお越しいただき視察を受けた。

一方の彩色部門では、同保存会の手塚茂幸先生に講師を担当いただき、修復作業の概要、資材・用具の扱い、型紙の作製等、基本となる彩色技法の工程を8日間の日程で進めた。彩色部門の各研修生の技術の習得状況は、各年目で作製した成果物、及び「技能習熟度チェックシート」を用いて評価を行った。

尚、経験年数5年目に該当する準会員については、講師の評価と成果物(彩色部門のみ)を社美協理事会にて共有し、「中級技能者」への昇級審査及び認定を行った。その結果今年度は計13名の準会員が新たに「中級技能者」として認定された。

 

 

 

3. 記録の作成及び刊行

・研修報告書と会報「すいかずら32号」の刊行、ホームページの更新などを進めた。

 

【その他の事業】

1.上級技能者認定審査

◇対象人数 15名 (対象:書類審査を通過した准上級技能者)
◇審査期間 令和4年3月~12月

令和3年度より計画していた上級技能者認定審査は、昨年度3月から令和4年12月にかけて現地審査が行われ、事前に書類審査を通過した技能者計15名の審査が終了した。現地審査は技能者が実際に施工を行った現場で行われ、受審する技能者の所属部門の部門理事及び部会長と、審査現場の設計監理者の3名に対し、技能者が当時の施工について説明し評価を受けた。尚、翌年1月に行われた理事会をもって対象者全員の合否が確定し、令和4年度は計12名の技能者が新たに「上級技能者」として認定された。

 

 

2.「文化庁 日本の技フェア ~文化財を守り続けてきた匠の技~」への参加

◇開催期間 令和4年10月22日(土)~23日(日)(2日間)
◇開催場所 ベルサール秋葉原イベントホール(東京都)
◇来場者数 3,304人(2日間合計)

昨年度と同会場で開催された「文化庁 日本の技フェア ~文化財を守り続けてきた匠の技~」だが、今年度は体験活動が復活し、実演団体も増えたことから、より幅広い年齢層にご来場いただいた。当協会も保存団体として参加し彩色部門と金具部門より1名ずつ、職人による実演を行うことができた。着彩されていく原寸大の複製壁画とその場で打ち出されていく錺金具を、多くの来場者に観賞していただくことができた。令和5年度は京都にて開催予定となっている。

 

3.社美協冊子『文化財修理の品質向上と新しい技能者資格制度』の発行

社美協では4月1日付で発令の「文化財保存事業費関係補助金交付要綱」に新たな条項が加えられたことを受け、社美協の資格制度や研修カリキュラムをまとめた冊子を令和4年11月に発行した。文化財の修理内容に必要とされる技術レベルや、技能者の経験年数による研修カリキュラムなどを記載しており、広くご活用いただくため全国の文化財所有者や設計監理団体の方々等幅広く配布を行った。(冊子のお求めはHPのお問い合わせでも承っております)
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